2018年9月3日月曜日

夏の田園風景──東海神

2018.8.14【千葉県】──東葉高速線を歩く_1

 今回から、地下鉄東西線と相互直通運転をする東葉高速線(西船橋〜東葉勝田台駅)沿線を歩きます。




 東葉高速線は1996年開業の第三セクター鉄道(主要株主:千葉県、船橋市、八千代市等)で、付近は住宅が立ち並ぶ地下を通るため、住宅のとなりに場違いのような駅の入口が作られます(上)。以前からの区割りに住宅が建ち並ぶ場所では駅前を整備する余地もないため、路地に降り立ってもこの道は抜けられるのか? と、初めての利用者は困惑してしまいます。




 以前池があった地を整備した公園(丘陵地が浸食された低地に湧水が多い地域)。
 日差しが強烈なため木陰でシャッターチャンスを待ちますが、水と戯れる様子を眺めるうちに、水遊びって炎天下で夢中に遊んだから全身が真っ赤に日焼けしたのかと、いまさらながら子どもに教えられます。
 木陰から見守る母親の口うるさい注意は本人が自覚できるまで必要ですが、それって結局痛い目に遭うまで自覚できなかったと……




 海老川(地名由来の船橋橋が架かる)には、川の両岸にある船橋市市場を結ぶ橋が架かります。門はないので一般市民も出入り可能で、市場に関係無い買い物帰りの家族が駐車場を利用している様子から、開かれた市場(?)の印象を受けます。
 そんななれ合いの関係は、偶数月の第1土曜日に開催されるふなばし楽市の副産物かと。楽市は市場を一般に開放し、魚や野菜、珍しい食材、調理器具の販売を行うもので、市民との交流にふさわしい催しと。




 猛暑でも海老川沿いのジョギングロードにランナーが多いのは、桜並木の木陰を流れる心地よい風のためかと。有森裕子さんも走った! が自慢のようです。
 川幅と桜並木の大きさ(樹齢)がちょうどいいバランスなので、「ここはよさそう!」と想像した満開の光景を、春に確かめに来なければと。
 畑が点在する郊外の空気を味わいながら河畔を手軽に散歩できるところが、近郊都市の魅力であると再認識するロケーションです。
 上は土地改良事業の記念碑付近にある石像。



 以前付近の海老川流域に広がっていた低地は、縄文時代等の海水面が高い時代には海の入江に続く湿地帯で、戦後の食糧難の時代までは一面に水田が広がりましたが、コメの生産調整の波を受け1960年代までに耕地整理〜土地改良が行われます。
 市街地に近い地区は住宅地とされますが、郊外地区では道路整備等は進むも農地に活気が感じられず、荒地が広がるような印象(上も農家の耕地ではなさそう)。


 そんな地を東葉高速線が通りますが付近に駅はないため、周辺住民の利便性は変らないように見えます。ですが、東海神駅〜飯山満(はさま)駅間は距離があるため、中間地に新駅構想があるとすればそれまでは寝かせておこうとの意図にも感じられます(広大なショッピングモールも建設可能な広さ)。
 整備された道路沿いに、お決まりのパチンコ店、カーショップ、コンビニや山田うどん(久しぶり!)が並ぶ様子は、開発を見据えて派遣された先遣隊が探りを入れるような状況にも見えます。


 土地改良が行われた上流部にだけ水田が残されるのは、適した場所が限られたことと、カメラ背後の飯山満駅から押し寄せる宅地開発の挟み撃ち状況のためかと。
 宅地開発のセオリーでは、まず人を集めるため駅周辺を整え、人口の増加を見計らいインフラ整備・宅地開発地域を広げますから、次のターゲットはこの水田あたりかと……

 船橋の市街地に近い場所ながら、アレアレ? っと田園風景に入り込む様が、近郊都市暮らしだから楽しめる解放感のように。
 猛暑日に開けた土地を歩くのは危なそうですが、気持ちよく汗を流せました。

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