2021年2月15日月曜日

おとぎ話にしたい──浦安_3

2021.1.30【千葉県】

 緊急事態宣言時ながらも陽気がいいので、密ではなさそうな旧江戸川沿いを散策する中高年の夫婦が多く、地元を再認識した様子の言葉が聞かれました……



 以前は漁業の町として栄えましたが、工場排水 等による水質汚染や、舞浜沖 等の干潟の埋め立てにより漁業者が減少し、町は転換期を迎えます。継続を希望する漁業者のために(浦安市の海域は広い!)、上の堀江ドックが建設されます(1966年)。当初は船で埋め尽くされたらしいが漁業者は減り続け、現在は主に屋形船の発着場とされるようです。
 周辺を幼い少女と散歩している父親が「むかしここでじいちゃんがクジラを見たんだって。スナメリ(クジラの仲間)が迷い込んできたんだよ」と語りかけています。クジラの絵があった浦安魚市場も閉鎖され、おとぎ話のように聞こえそうですが、話だけでも受け継いで欲しいと……


 右は浦安市役所駐車場で、最上階の端に停められるのは市の公用車のようで、利用率の低い場所を使用しているのではないかと(この日は土曜)。運転者は足元を気にしても柵の下は眺めないため、気にならないでしょうが、近頃は立体駐車場からの転落事故をよく耳にしますから、下からは「落ちるなよ!」と言いたくなる光景です。

 隣接の浦安公園では、子どもたちが遊具を利用し駆け回っています。昨年の緊急事態宣言時は、遊具に「使用禁止」のテープでぐるぐる巻きにされましたが、われわれが1年間で学習した成果と受け止め、この先にも明るい展望を描きたいと。


 浦安市郷土博物館に展示される焼玉エンジン(上)は、緊急事態宣言の休館中でも手入れが欠かせないようです。これは旧江戸川から引き上げられたもので、製造元の鉄工所(静岡県土肥町)に依頼し、不足部品を作り直して復元したそうです。以前はポンポン船(焼玉船)として広く親しまれますが、そこまでの執念を持つのは浦安市だけらしい(「焼玉エンジンの始動が見られるのはここだけ」と自慢しているそう)。旧漁師町の名残りが点在する町を歩くと、そんな気質を理解できる気がしてきます……


 上の左右天命弁財天は、住宅地の窮屈な場所ながら池とともに守られ、地域の守り神として信仰される様子がうかがえます。
 その近くに大三角線(おおさんかく)という通りがあり、大三角とはご想像の通り、旧江戸川河口に広がった大きな三角州のことで、埋立地は舞浜(ディズニーランド周辺)となります。旧浦安町から浦安市となったのは1981年(ディズニーランド開業の2年前)で、埋め立て前の約4倍(4分の3が埋立地)の面積となっても県内で一番狭い市らしいが、千葉では一番有名かと。
 人の多そうな舞浜周辺には、まだ近づかない方が……


天災と人災

 東日本大震災の被災地で大きな地震がありました(東京も大きく揺れた)。電気・水道・鉄道 等に被害を受けましたが、犠牲者が出なかったことは何よりですし、協力体制に重要視される「スピード感」が共有される様子に、たくましさを感じました(素晴らしい!)。
 その一方で、感染症対策というのは長期間に及ぶため、引き締めの呼びかけを理解しながらも、時間の経過とともに徐々にルーズになる、人間の弱い面が感染拡大の要因に加わるため、人災といえる面もありそうと……

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