2021年3月15日月曜日

歴史を受け継ぐ──妙典

2021.2.13【千葉県】

 妙典駅は地下鉄東西線のもっとも新しい駅で(2000年)、区画整理された駅南側には大規模商業施設(映画館もある)等の建物が並びますが、商圏の広さはどれほどなのだろうか……


 現在公園とされる常夜灯(右)は、江戸時代に整備された水路(小名木川・新川)を利用し成田詣でに通う、日本橋の成田講中(信仰者の集まり)の人々が航路安全を祈願し建てたとされます(箱崎ターミナル付近に行徳河岸(船着場)があったそう)。新河岸とされた周辺の、船で往来する人や物資でにぎわう様子が、江戸名所図会にも描かれました。

 旧江戸川対岸(江戸川区)には対照的と思える、マリーナと造船工場があるように(下)、川を挟んで文化の発展期が異なるため、町の様子も大きく異なります。

 現在の妙典駅周辺は、以前行徳町とされた地域で、本塩(行徳塩発祥の地)、塩焼(埋立地の新しい町名)等の名が残るように、塩業の中心地だったようです。江戸時代「行徳千軒寺百軒」(1000戸の集落に寺社が100ある)とされた様子は、寺社が並ぶ地域に残る寺町通りの名称にうかがえます。



 妙典(法華経の別の略称)の地名は、中山(競馬場付近)にある法華経寺の系譜を持つ、日蓮宗に守られた経緯によりますが、往来が多い成田街道(成田山新勝寺は真言宗)や、塩田労働者が多い地域のためか、長松寺(臨済宗:上)や、徳願寺(浄土宗:右・下)のように、多様な宗派の人々を受け入れる、包容力を持ち合わせていました。
 周辺の発展は徳川家とのつながりによるもので、家康が鷹狩りの際に通った道(権現道)を大切にする姿勢が受け継がれ、繁栄期の遺産が残されるようです。
 ですが、江戸川(放水路)沿いの海側に整備された工場用地には、違法残土が積み上げられた「行徳富士」があり、東西線車窓から見えたりします……

輸入されるワクチンと変異株ウイルス

 政府は航空会社に、1週間の入国便搭乗者数の制限を要請しますが(状況次第で変動)、入国者を隔離せず、「14日間の公共交通機関不使用、自宅又は宿泊施設での待機」を要請するだけとのこと。緊急事態宣言としながらも、ザルの水際対策で変異株ウイルスを輸入したのでは、効果はありませんし国民は疲弊するばかりです。
 尾身先生の「早晩、変異株が主流になると考えておいたほうがいい」は、水際対策への批判と受け止めるべきですが、それを耳にしても理解できない政治家や官僚は、国民の生命・財産を守る義務を果たしているのだろうか?
 見かねた尾身先生は月曜日に、「見えない感染源があるのではないか」との、突っ込んだ発言に至ります。できることをやり切らなければ、いつまでも先手を打つことはできません……

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