2018年9月17日月曜日

不便でも危険性は低い──北習志野

2018.8.25【千葉県】──東葉高速線を歩く_3

 付近では北習志野を「きたなら」と呼ぶようで、「北奈良」の表記が思い浮かぶもそんな地名はないらしい。間違っても「きたならし〜の」はNGです!(ゴメンナサイ)




 新京成線にカーブが多いのは、元鉄道連隊演習線として作られた際に、連隊ごとに課せられた線路敷設距離のノルマ達成のため「カーブで距離を稼いだ」、「カーブする線路敷設訓練のため」などとされます(連隊の作業場は現在の千葉公園にあった)。松戸~津田沼間に完成した曲がりくねった線路は、戦後に京成電鉄へ払い下げられます。そのため、複線化が困難な京成津田沼〜新津田沼間の一部は単線のまま(上は同区間の複線部分)。
 柴又を通る京成金町線でも見かけるドア脇の鏡は、身だしなみチェックのために設置されますが、近頃では化粧する女性の姿も日常の光景になっているらしい。




 1873年(明治6年)に行われた陸軍大演習の際、明治天皇の言葉から習志野の地名が生まれたとされます。ですが、現在の陸上自衛隊駐屯地は習志野市に属しません。
 ゆかりのある人物も、西郷隆盛、秋山好古(日露戦争で世界最強とされたコサック騎兵を退け日本騎兵の父とされた、司馬遼太郎『坂の上の雲』主人公)、西 竹一(バロン西:1932年ロサンゼルスオリンピック馬術障害飛越競技の金メダリスト、軍人)など、軍関係者なのは当然とも。
 上の空挺館は、以前旧騎兵連隊の御馬見所(ごばけんじょ)とされ、天皇・皇族が観覧した迎賓館。

 隣接の航空自衛隊分屯基地に地対空ミサイル部隊が駐屯するため、迎撃ミサイルシステムPAC-3が配備されます。
 右はパラシュート訓練用の降下訓練塔で、アトラクションではない。




 旧薬園台の地名由来は、江戸時代に開設の小石川御薬園を8代将軍 吉宗が拡張する際に新設された薬草園にちなみます。以前小石川植物園訪問の際に関連施設の存在を知り、「そんな遠くまで行けない」と思ったが、名残も現存しないようです。
 1973年住居表示は薬園台→薬円台に変更されますが、現在も一部に残される薬園台町付近に薬草園があったのかも知れません(京成線の駅名は薬園台)。


 猛暑日に大にぎわいの子供プール(無料)は、子どもでも水が膝下程度なので「徒渉池:としょういけ(歩いて渡れる)」と呼ぶそう。
 木々が多い公園なので、少年野球の様子を「あれじゃ空振りだろ」と日陰からのんびり眺められますが、風が強いためグラウンド周辺は土ぼこりに襲われます。
 とはいえ日差しが強いので、日陰からなかなか出られないようにも……




 なだらかな起伏が続く一帯に広がっていた江戸時代の幕府直轄牧場は、明治時代に陸軍の演習場とされます。旧軍用地でも開かれた土地(遺産)は利用しやすかったようで(不発弾処理等は必要)、北習志野駅前には下のような共同住宅が立ち並びます。
 海岸を埋め立てた平坦地に比べ、丘陵地に多少の不便さを感じても、北海道胆振東部地震のような液状化被害の危険性は低いと胸をなで下ろしたのではないか(造成方法により危険度は変わる)。川の氾濫や液状化の危険性が低い丘陵地は、これから注目されるかも知れません。



追悼──樹木希林さん

 どんな現れ方をしても、観客の関心を引きつけるのが役者、を体現した方のように。
 老け役を経て、本物のおばあさんを感じた『万引き家族』に至るまで、「わたしだって女よ」と演じる姿から、自分の母親に「母になる前から女だった」様を重ねられるようになったのも、女のたくましさを見せつけてくれたおかげと。
 これからも映画にひょっこり「あらいやだ、出番間違えたかしら……」と現れるんじゃないかと思いながら……
 ありがとうございました。


追記──地下鉄合併の風穴となるか?

 久しぶりに地下鉄 九段下駅を利用すると、都営新宿線と東京メトロ半蔵門線のホームを隔てる壁が消えていました(2013年)。以前から壁越しに隣ホームの音が聞こえていたので、これがあるべき姿に見えます。1980年新宿線、1989年半蔵門線が開業しますが、両ホーム間に柱も無い様子から、当初から共同溝として建設されたように。
 壁が撤去されたのは新宿線は新宿方面と、半蔵門線は押上方面のホームなので、乗り換えの恩恵を受ける利用者は少なくても、これが都営と東京メトロの合併へのきっかけになってくれればと。でも、料金が都営側に統一されたら「それは違うだろう!」と……

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