2021年5月3日月曜日

色あせる思い出──いなげの浜

2021.4.10【千葉県】

 ここは埋め立て事業により失われた浜辺を、日本初の人工海浜として復活させたものですが(1976年)、侵食の影響が大きいため保全は大変そうです……



 ディンギー(キャビンを持たない小型の船舶)を目にすると、条件反射のように大瀧詠一「君は天然色」(リンク先Youtube)が流れてきます。この春でアルバム『A LONG VACATION』は発売40周年らしいも、楽曲に古さが感じられないので、いまでも手が届きそうな印象もありますが、思い出から鮮やかさが失われることを、理解できるようになってきました。
 当時は誰の車にもカセットテープがあったので、どこへ行く際も聞いていた記憶があります。寺尾聡久保田早紀サザンオールスターズ(リンク先Youtube)等々も。昨今は若者の車離れが進むと耳にしますが(移動手段としては重要でも、車好きは古い趣味の印象となった)、ドライブで耳にした音楽の方が思い出に残ることと。


 上のいなげの浜は、浸食が激しいため養浜工事が行われましたが(白い砂を西オーストラリアから取り寄せ2019年完了)、すでに波打ち際には黒っぽい砂(泥)が打ち寄せ、白砂は奥だけに。全面真っ白な砂の評判がよかったようで現在再整備中ですが、台風の直撃で一変する姿に執着するのは、お金を海にまくようなものではないかと。奥の千葉みなと周辺の工場地帯に隣接するため、力を入れたいのかもしれません。


 埋立て前の稲毛海岸に広がっていた干潟には、日本初の民間飛行場(稲毛飛行場)が開設され(1912年:明治45年)、多くの民間飛行家たちの拠点とされたことから、稲毛民間航空記念館(リンク先Youtube)が開設されましたが(1989年)、2018年に閉館となりました。付近には、ライト兄弟が初めて飛行に成功したキティホーク(旧米海軍空母の名称由来)に生えていた松の種から育てた、松が植樹されているそうです。
 当時の滑走路は、大きな石を取り除いた未舗装の土でしたから、海岸の干潟という立地は好条件だったのではないかと(干潮時に限りますが)。


 前回もそうでしたが、付近を歩く際は検見川の浜とセットのため、稲毛海浜公園の全域を踏破する元気が残っておらず(前回より少し足を伸ばせたが)、次回はのんびり歩いてみたいと。
 その穴埋めで立ち寄った日本庭園では、普段GW時分が見頃と思っていた藤の花が咲き始めています。東京湾の奥とはいえ、南側に海が開けた公園では開花が早いのかもしれません。


感染予防に対する認識の低さ

 クルーズ船「飛鳥Ⅱ」乗客に感染者が見つかり航海中止となりました。乗船1週間前検査は陰性でも、乗船直前の検査結果を確認せずに出航したための事態で、「大丈夫だよ」という認識の甘さが蔓延する実態を示す例となりました(海外からの入国者により変異株が拡大していることも同様で、認識の低さ・管理の甘さによる人災かと)。
 与党幹部は、「まん防」「非常事態宣言」を小出しにすることで「穴があいた」(制限のない地方への交通手段や宿泊施設は対象に含まれない)と、満足のようですが、それを待っていたかのように、大都市から地方へウイルスを撒き散らしに出かける連中がいることに呆れます。二兎(感染防止と経済対策)を追って、年末・年始の第3波とされる拡大を招いたように、連休明けも覚悟した方がよさそうです(拡大を求めたいのはワクチン接種だけ!)。
 これは五輪開催と比較して、個人消費を優先した方が国全体が潤うとの判断による政策としたら、いつまでたっても感染収束を望めないのでは?

2021年4月26日月曜日

今年も寂しいGWに──検見川の浜

2021.4.10【千葉県】

 千葉市美浜区は全域埋立地で、JR京葉線 海浜幕張駅周辺は幕張新都心、検見川浜駅・稲毛海岸駅周辺は生活拠点とされます。



 上の海浜市民運動広場には「野球、ゴルフ禁止」の看板があり、飛ぶボールはNGとしてサッカー等に利用されるようです。柵もなく誰でも入れる原っぱ(自由広場)でも管理できる様子に、アバウトながらも融通できた、昭和的な地域社会の空気を思い出します。
 グラウンドは、ガキ時分に草野球をしたような原っぱ(芝ではない)ですが、走り回れることがうれしそうな様子は、昔と変わらないように。小学生時分はとにかく運動したかったので、帰りがけに「野球やろうぜ!」と呼びかけたことを思い出しますが、徐々に原っぱも無くなりました……


 上のまっすぐ続く並木の裏側には、サイクリングロードが並行し、道路の反対側には広大な花見川終末処理場(下水処理場)があります(その上部は美浜ふれあい広場のグラウンド)。ほぼ海岸線に並行する直線道路は堤防跡のようで、以前の海岸線だった東関東自動車道付近から広がる、埋め立て地の区割りとされたようです。幕張で潮干狩りした時分に「もうすぐ埋め立てられる」と、耳にした記憶があります(昭和40年代の工事)。


 花見川を挟んで幕張の浜に隣接する検見川の浜は、砂浜を囲うような長い防波堤(上奥)のおかげで、砂浜が維持されているように見えます(幕張の浜は侵食が激しい)。ここは海水浴ではなく、レクリエーション(ウィンドサーフィン、パラセーリング)向けの海浜公園。

 右は、以前も撮ったモニュメント(?)に飾られる鯉のぼりですが、今年のこどもの日もイベント自粛で、鯉のぼりだけが寂しく泳ぐことになりそうです。天気がよければアウトドアは、一年でいちばん気持ちのいい季節なのですが……


 大会が近いにしても、長時間プレーを続けられる体力に感心します。風の強い日でボールが流されても、めげずにボールを追いかけるのは、海辺のスポーツでは必須の練習なのか? でも男のビーチバレーって、基本的にスルーですよね……

 以前は寿司屋で「検見川=赤貝」が通じるほど、付近の赤貝は有名だったそうです。東京湾奥の遠浅海岸はほとんど埋め立てられ、貝の生息環境も失われてしまい(付近では、沖合から埋め立て用の泥を吸い上げ、急深の地形になった)、人による復元も難しい状況となりました。


慣れっこに響かない緊急事態宣言

 感染者を減らしたい国民の願いを、ないがしろにし続ける政府に対する反発なのでしょう、3度目の緊急事態宣言初日のインタビューでは、「思ったより人出がありました」(お前も同類!)の状況らしい。もはや、高校生に対する生徒指導レベルに思えるが、高校は義務教育ではないので仕方ないのか? 酒類、カラオケの提供禁止。百貨店、大型店舗の休業。ネオン、看板の消灯。外飲み禁止 等々、にもかかわらず人出があるのは、目的地(営業店)があるためかと。繁華街なら「どこかやってるよ」と考えるのは、若さを持て余す連中だけでなく、いい年をしたおばちゃん 等も同じとは驚きますが、皆さん人混みじゃないと発散できないようです。
 そんな様子をTVで目にすると、欧米諸国のロックダウンが正しそうに思えてきます。日本でも次の制限は「外出禁止」ですから、そのようなカードを持つべきではないかと。ですが、なんとも中途半端な期間の先には、IOC バッハ会長来日予定(5月17日)があるためらしいが、そこまでに収束すると考える国民はいないことと……


ブラタモリ「日本の岩石スペシャル」(4月17日放送)

 岩石なんて関心のカケラもない女子アナが、初めて耳にした専門用語を怪訝そうに「いま、何て?」(聞いただけでは想像できないことでしょう)に対する、タモリの説明や、専門家の詳しい解説を聞いた後に、「そんな石があるんだ〜」程度に見続けてくれれば御の字と感じる、土曜ゴールデンタイムの斬新な企画でした。
 岩石や地形が、地理的環境を形成し、そこに地域文化や生活が生まれることを、伝え続ける番組なので、ほんの少しでも関心が広まったなら、関係者や取材地域の人々は涙して喜ぶのではないか。番組を知る視聴者は、すんなり受け止められそうなところが、革命的! と。
 シュードタキライト地震の化石)をほれぼれと眺める、タモリの趣味から生まれた番組と言えますから、「知的好奇心は極めるべき」がコアなテーマとも……
 地学をかじったことのある立場としては、拍手喝采です! 👏👏👏

2021年4月18日日曜日

春の小川──海老川

2021.4.3【千葉県】

 ここは、船橋の地名由来とされる橋が架けられた海老川の上流部で、小川の両岸に遊歩道が整備される桜の名所ですが……



 「桜、終わっちゃったねぇ」「でも、先週は密だったから」夫婦の会話はわかりませんが、いまどき小さな子ども連れの外出は、人ごみを避けたいことと。花の盛りは終わりましたが、家族でゆっくり過ごせているように見えました(何だか、昭和期の洗剤のCMのよう…)。
  以前歩いた際に、住宅地から田園地帯へと誘う小川沿いの遊歩道がいい雰囲気なので、花の季節に足を運びますが機を逸しました。見頃は都市部より少し遅めと見込んでいましたが、満開は自宅周辺と同時期だったようです。というより、それほど距離は離れてないが、房総半島方面から流れ込む暖気の影響で、付近の方が開花は早いかもしれません。認識不足でした……


 桜吹雪のピークも過ぎたようで、ハラハラ舞い落ちる花びらを味わうことに。桜吹雪を撮るのは難しいのですが(タイミング、風の具合や背景 等)、いつか撮りたいと。
 「春の小川は、さらさら行くよ♪」と静かながらも流れるので、花びらの絨毯は1枚目のような、流れのよどみ付近に限られます。下のように流れゆく姿は、実生活の様々な場面に例えられますが、思い浮かんだ途端に流されていきます。桜の花びらと同様、人も散った後は自然に帰ることができるように、生活のために利用するモノも同様であるべきではないかと……


 桜の名所として評判を得るためには、春の使者とされるソメイヨシノを中心にしないと人を集められませんが、その前後に咲く品種が植えられていると、見頃を逃した人々も救われた気持ちにさせてくれます。下はこれから見頃の品種(名称不明)。
 以前、桜目当ての観光に来たらしい外国人旅行者が、蕾を目にしてがっかりする姿を思い出しました(その年の開花は遅かった)。現在は自分たちのことだけで精一杯ですが、次の春は外国の方々にも花を楽しんでもらいたいと……



高齢者へのワクチン接種開始

 65歳以上の高齢者は人口の約3割だそうで、彼らの接種が4〜6月(3ヵ月)とすると、全国民完了はプラス6ヵ月(3ヵ月×2)で今年いっぱいかかるの?(6月以降の供給数は大幅増の見込み)
 ワクチン接種が進む国の新規感染者数は目に見えて減少しているらしいも、国産ワクチンを持たない現状では供給を待つしかありませんが、わずかながらも光が見えてきたように。

 都知事発言「東京へ来ないで頂きたい」の部分だけを切り取り、様々な批判や揚げ足取りの標的とされましたが、人の流れを抑制したい東京都の本音であることは、都民として当然理解できます。現在の数字は花見時期の感染者数ですが、拡大に向かう予兆を掴んでいるのかもしれません。
 一般人への接種開始が、五輪開会100日前という状況ながらも、IOCとの我慢比べのために無駄な税金が使われ続けます……

2021年3月29日月曜日

花曇りの彼岸──法華経寺

2021.3.20【千葉県】

 都心の桜の開花情報を耳にするも、足を運ぶ気になれず千葉を歩きますが、こちらも安心できる状況ではないんですよね……


 日差しは弱くても暖かさのある、花曇り(春の季語で、桜の花が咲く時期の明るい曇り空 )のお彼岸ですが、思ったより人出が少ないのは、お年寄りとの外出を控える方が多いためかと。

 普段の彼岸は、桜には少し早い時季ですが、今年の開花はかなり早いため、ちらほらと咲き始める様子が楽しめます。この地や自宅周辺もまだ咲き始めのように、都心(靖国神社の標本木)との気温差を実感できる季節感と言えそうです。
 都県境周辺の気象情報は日頃からアバウトなので、「両側の中間程度?」と受け止めますが、どっちに転んでも裏切られた印象を持ってしまいます。

 法華経寺は日蓮(日蓮宗)の弟子が創立した、山内寺院や塔頭(たっちゅう)が並ぶ信仰の場で、毎年全国の僧侶が大荒行のために集まる修練場でもあります(1枚目は別の荒行堂)。
 付近には以前から鬼子母神があり、日蓮が鬼子母神に救われた逸話から、この地に法華経寺が建立されたようです。雑司ヶ谷鬼子母神「法明寺」入谷鬼子母神「真源寺」と、ここ中山が江戸の三大鬼子母神とされます。

 法華経は飛鳥時代に伝来し、聖徳太子が推古天皇に講義して以来日本仏教の源流とされます。現在の主な宗派がその教えを尊重するように、日本人に適した経典のようです。



 千葉街道から始まる参道(JR下総中山駅前から?)は、ゆるやかな坂を登り、京成中山駅付近の黒門をくぐり(親しみを感じる門前町が健在)、丘陵の頂付近にある仁王門(赤門)から、境内へとなだらかに下ります(平地と丘陵の境界付近に立地)。
 山号の正中山が中山(といえば競馬場?)の地名由来。

 家族連れを多く見かけるのは、外出を自粛するため「家族で墓参りに行こう」との動機かもしれません(彼岸の墓参りは大切な要件です)。これを機に家族単位で行動する機会が増えればと、前向きに受け止めるべきかもしれません。

 花の季節に人出が増えるのは、日本人のお約束ですから、リバウンドや非常事態宣言解除のタイミングと重なるこの春は、昨年以上に警戒した方がよさそうです……


学習できない国民を巻き込む、聖火リレーのパフォーマンス

 地方都市でのリバウンドや、病床の逼迫(ひっぱく)度が高まる中での聖火リレー実施は、学習できない政府・官僚たちが、同様に学習できない国民を巻き込み、責任の所在をうやむやにしようとするパフォーマンスに思えてなりません。聖火リレー沿道に密集が見られても、対策は呼びかけだけで、中断せずに進められるそう。
 マスコミも「桜が見頃です」の翌日には「桜の名所に人出増加」など、別の意味で信頼できないにもかかわらず、学習できない人々は「だいじょうぶだよ」との勝手な解釈で、密集に足を運びます。政治家やマスコミと同様「リバウンドが心配です…」と口にしながら、平然と出歩く国民は、五輪中止の際に「国民の理解が得られなかった」の言い訳に利用されるのではないか?
 現在の状況が続けば五輪どころでない、との考えから国民は出歩くのだろうか?

2021年3月22日月曜日

人が生んだ干潟──江戸川放水路

2021.2.20【千葉県】

 江戸川放水路(江戸川の本流とされる:長さ2.8km)は、都市部の上水確保と洪水防止の目的で建設されましたが、行徳可動堰の下流側は干潟の生き物たちの楽園となっているそうです。


 右は、江戸川放水路との分岐付近にある、旧江戸川に面した船溜りで(以前の江戸川河道らしい)、少し前に整備計画を目にしたと思うが、前回訪問時と変わらない様子です。海へ出るには、旧江戸川をディズニーランド付近まで下る必要があるため(結構遠い)、下記の放水路に引っ越したらしい。
 江戸川放水路開削時(1919年)に、旧江戸川の流路が移動したため、江戸川区(境界を維持すべき)vs 市川市(境界を引き直すべき)の意見がまとまらず、現在も河原番外地とされる地域があるそう。以前もふれましたが、河原という地名は何とかすべきで、「市川市の河原に住んでる」と、言いたい人はいないのでは……(歴史ある河原なのか?)

 右は江戸川水閘門(すいこうもん)で、江戸川(左側)と旧江戸川(右側)を仕切る水門(上水に利用する上流側への塩水の遡上防止と、下流側の旧江戸川の水位確保:奥)と、 船が通るための閘門(こうもん:手前)が併設されます。歴史を感じる建造物は戦時中に作られたもので(1943年)、当時から東京の上水確保に苦労していた様子がうかがえます。

 放水路の少し下流側に作られた旧行徳堰は固定式で、流域の洪水を防げなかったため、57年に可動式とされました(下)。洪水の際は上流(左)からの雨水を流し、海面上昇時は下流(右)からの塩水を受け止める構造は理にかなっており、活躍する姿を見てみたいが、その際はここに立ち入れません。


 右側の旧行徳橋(現在撤去中:1956年)の歩道は1.2m幅しかなく、すれ違う際は体を避け合い、自転車が来ると立ち止まるような不便な橋でした。
 左側の(新)行徳橋(2020年)は車道・歩道ともに広い橋となり、往来を気にせずに歩けるようになりました(開放感がまるで違う!)。
 橋は可動堰の管理にも利用されるため、内部をのぞけることも一興です(下)。


 普段は、可動堰下流の江戸川河口域には流れがなく、干潟の入江のような環境がハゼの棲息に適しているため、ハゼ釣りのスポットとして知られるそう。右の桟橋やボートからも可能だそう(有料)。
 ガキ時分のハゼ釣りの記憶(横浜 金沢八景←八景島付近?)では、「バカでも釣れる」とされたように、糸を垂らせばすぐ釣れる印象がありましたが、もうあんな楽しさは味わえないことでしょう。潮干狩り(幕張)とともに、東京湾の恵みを体感したことは忘れられない経験で、子ども心に強烈な印象として刻まれますから、「江戸川のハゼ釣り」が思い出となるよう、残してあげたいと……


球春に感じる明るさ

 甲子園に、はつらつとした高校球児の姿が戻って来ました! その躍動を目にすると、「もうすぐ春ですねぇ。ちょっと、動き出しませんか?」と、尻を叩かれるような思いがします。
 開催は春休みの時期に合わせたのでしょうが、イベントを季節感として受け止める(結びつけて感じる)習慣が身についているため、季節の指標になっていることを実感します。今後は中止されることなく、続けられるよう願いたいと。


リバウンド兆候が見える中の緊急事態宣言解除

 首都圏(4都県)の緊急事態宣言解除は、昨年の宣言時と同様に、東京五輪を意識したものと受け止める人が多いのではないか。国としては、何がなんでも「決行」の意思を示し、中止の判断をIOCに委ねる必要がある(責任の所在で費用負担が変わる)、との決意に感じられます。海外観客の受け入れ断念は、中止決定の際に日本側にも負担を求めるIOCの意向とも感じます。
 宣言解除で平時に戻るわけではなく、国民生活に大きく影響を及ぼす問題なので、無関心ではいられませんし、この一年で「50年に一度の五輪より、明日の我が身」と考える人は増えたのではないかと。水面下で画策された動きに見えるので、中止の発表をするなら早くすべきと……

2021年3月15日月曜日

歴史を受け継ぐ──妙典

2021.2.13【千葉県】

 妙典駅は地下鉄東西線のもっとも新しい駅で(2000年)、区画整理された駅南側には大規模商業施設(映画館もある)等の建物が並びますが、商圏の広さはどれほどなのだろうか……


 現在公園とされる常夜灯(右)は、江戸時代に整備された水路(小名木川・新川)を利用し成田詣でに通う、日本橋の成田講中(信仰者の集まり)の人々が航路安全を祈願し建てたとされます(箱崎ターミナル付近に行徳河岸(船着場)があったそう)。新河岸とされた周辺の、船で往来する人や物資でにぎわう様子が、江戸名所図会にも描かれました。

 旧江戸川対岸(江戸川区)には対照的と思える、マリーナと造船工場があるように(下)、川を挟んで文化の発展期が異なるため、町の様子も大きく異なります。

 現在の妙典駅周辺は、以前行徳町とされた地域で、本塩(行徳塩発祥の地)、塩焼(埋立地の新しい町名)等の名が残るように、塩業の中心地だったようです。江戸時代「行徳千軒寺百軒」(1000戸の集落に寺社が100ある)とされた様子は、寺社が並ぶ地域に残る寺町通りの名称にうかがえます。



 妙典(法華経の別の略称)の地名は、中山(競馬場付近)にある法華経寺の系譜を持つ、日蓮宗に守られた経緯によりますが、往来が多い成田街道(成田山新勝寺は真言宗)や、塩田労働者が多い地域のためか、長松寺(臨済宗:上)や、徳願寺(浄土宗:右・下)のように、多様な宗派の人々を受け入れる、包容力を持ち合わせていました。
 周辺の発展は徳川家とのつながりによるもので、家康が鷹狩りの際に通った道(権現道)を大切にする姿勢が受け継がれ、繁栄期の遺産が残されるようです。
 ですが、江戸川(放水路)沿いの海側に整備された工場用地には、違法残土が積み上げられた「行徳富士」があり、東西線車窓から見えたりします……

輸入されるワクチンと変異株ウイルス

 政府は航空会社に、1週間の入国便搭乗者数の制限を要請しますが(状況次第で変動)、入国者を隔離せず、「14日間の公共交通機関不使用、自宅又は宿泊施設での待機」を要請するだけとのこと。緊急事態宣言としながらも、ザルの水際対策で変異株ウイルスを輸入したのでは、効果はありませんし国民は疲弊するばかりです。
 尾身先生の「早晩、変異株が主流になると考えておいたほうがいい」は、水際対策への批判と受け止めるべきですが、それを耳にしても理解できない政治家や官僚は、国民の生命・財産を守る義務を果たしているのだろうか?
 見かねた尾身先生は月曜日に、「見えない感染源があるのではないか」との、突っ込んだ発言に至ります。できることをやり切らなければ、いつまでも先手を打つことはできません……

2021年3月8日月曜日

海辺の残像──行徳_2

2021.2.11【千葉県】

 今回は、江戸期の繁栄をもたらす塩田が広がっていた、行徳駅の海側を歩きます。地下鉄東西線開業(1969年)当時の周辺には水田が広がっていたため、駅に靴の洗い場があったとか……


 駅から海へ向かうまっすぐで少し下る道には(リンク先は当時の様子がよくわかる)、茅ヶ崎のような海辺の町の空気を感じます(茅ヶ崎には砂丘の起伏がある)。一帯は塩田から転換した水田やレンコン畑(湿地)を埋め立て区画整理したので、港などの構造物は無いはずですが、行徳に2箇所、南行徳に1箇所キレイな弧を描く道路があります。行徳は交通公園と小学校(上)、南行徳は小中学校に面しているので、区画整理でしゃれっ気を演出したかったのではないかと。
 交通公園の隣にあるイスラム教のモスク(行徳ヒラー・マスジド:スンニ派)には、男女別々の入口があり、1階女性用、2階男性用礼拝所とされるそうです。


 福栄スポーツ広場・いこいの広場は、千葉県江戸川第二終末処理場(下水処理場)の上部に整備され、広場・公園・グラウンド(休止中) 等があります。
 上は野球場のバックネット裏に咲く梅で、一般的にはボールが見えにくい 等の理由から、ネット裏に花が咲く樹木は見かけないため気になったもの。その足元にある花壇はキレイに手入れされているので、園芸係の目線で「木が欲しい」と植えたのではないかと。
 公園には池(整備中)や盛り土の起伏もあり、高い木々も育ちますから(右)、駈けまわる子どもを見守る親もまったりできそうです。

 右は、宮内庁の施設とされる新浜(しんはま)鴨場の運河に放置されるポンプ(?)。皇族方が賓客接遇として、伝統的なカモ猟を紹介する施設で、地元の方のみ抽選で見学会に参加できるらしい。閣僚、国会議員 等も招かれるらしいが、近ごろはあんな連中を接待する必要はない、と思う人も多いのではないか。
 天皇が皇后にプロポーズした場所とされるように、鴨場には身を隠す場所が必要で外部からのぞけませんから、絶好の場所だったようです(ゆえに写真はありません)。
 隣接地にある行徳湿地(鳥獣保護区)も、野鳥保護のため立入が制限されています(普段歩ける場所も現在休止中なので、関連写真はナシです)。
 右は鴨場近くの畑で、素人目に大根たちは「抜いてくれ〜」の主張に見えますが、まだ早いの?(ところどころ収穫済みなので、見捨てられた訳ではないと)。
 周囲は宅地に囲まれますが、鴨場のあるおかげで耕地も存続できる面もありそうと。前回イチゴ狩りの案内を目にした記憶があります。

 以前、田んぼの中にまっすぐ伸びていたのは鴨場に向かう道で、そんな光景に遭遇したら「この先には何が?」と、きっと足を運んだことと。誰もいないと思う場所でも、釣り人はいたりしますが、さすがに遠浅の湿地にはいなかったのでは……


首都圏(4都県)の緊急事態宣言延長

 これまでと同じ対策だけで、新規感染者減少につながるか疑問ですが、医療提供体制のひっ迫度はある程度改善されると思うので、現状維持で耐えることが、最善の道ではないかとも。飲み屋には酷でも、時短営業継続に安堵する人が多いのは、酒が入ると話し声が大きくなるとの指摘に、身に覚えがあるからではないか。
 ですが2週間後には桜が開花しそうですから、社会全体の新たな制御が必要になりそうです。


東日本大震災から10年

 一般的な事柄に対しては「もう10年」と感じることが多いが、本件については「まだ10年しか経ってない?」との印象を受けます。
 当初から10年はかかると思われた復興ですが、被害が広範囲だったこともあり、まだ基礎工事が済んだ程度ではないかと。国民の関心は離れていませんが、世間には10年を区切りと見る向きもあり、幕引き・フェードアウトへの動きに対しては、抗議の意思を示す必要がありそうです。自分なら、インフラを整備してくれれば、あとは自分たちでやるから「金だけ貸してくれ」と言いたくなりそうですが、原発による被害を受けた地域は、お金で解決できる問題ではありません……

色あせる思い出──いなげの浜

2021.4.10【千葉県】  ここは埋め立て事業により失われた浜辺を、日本初の人工海浜として復活させたものですが(1976年)、侵食の影響が大きいため保全は大変そうです……  ディンギー(キャビンを持たない小型の船舶)を目にすると、条件反射のように 大瀧詠一「...